動画コラム「アフターコロナの企業の水リスクは変わる」

自社の拠点がどの流域にあるかを知るべき

新型コロナによって、多くの企業がサプライチェーンの見直しを測っています。これまで企業は人件費の安さ、マーケットへの近さから海外に拠点を置くケースが多かったのですが、その一部を国内に回帰させるケースが出るくるでしょう。

国際分業の効率性を失うことでコスト高にはなりますが、ITインフラの整備、テレワークの浸透によって生産性は高まります。同時に、都市部への一極集中が崩れ、あらゆるものが地方へと分散されます。新型コロナは人、モノ、情報の移動を変えてしまいました。ここが今後の企業活動を考えるうえでのポイントとなります。

 地方という概念を、まとまりとして具体的に表現する場合、道州制の構想や都道府県、市町村などがあるが、生産や生活という点で合理的なのは「流域」でしょう。ですから流域の生態系を維持しながら、利水、治水に目を向けていく必要があります。

生産活動には水が必要だが人工的な手段で得るのは難しい

現在、国は流域マネジメントに注力しはじめており、企業にとっては保全しながら活用することが可能になります。

水は世界的に危機的な状況にあります。水不足で生産活動ができなくなるケースが頻発しており、欧米企業はサプライチェーン全体の水リスクを把握する体制を強化しています。企業のトップは、製造拠点を考えるときには必ず「水リスク」を考え「水リスク」を織り込んだ意思決定は常識となっているし、投資家は企業の「水リスク」に注目して投資活動を行っています。

気候変動により雨の降り方が変わり渇水や洪水が頻発

事業継続 (BCP)の視点(災害発生後、迅速に事業を再開できるようにするための取り組み)からも、流域内での自然災害リスクを把握し対策していくことは重要です。

企業が流域の水を活用するということは、保全活動など「流域への貢献」をセットで考える必要があります。具体的な動きとしては以下の3ステップが必要になります。

ステップ①:拠点の利水をフローで捉えリスクを分析する…現在多くの企業は水利用を点で考えている。取水する井戸の水質と量で判断している。しかし、その水がどこから流れてくるかを把握する。また、使用量が流域全体に負荷をかけているかどうかを判断する。

ステップ②:リスク対策とその影響をマネジメントする…ステップ一の調査の結果、長期的に水質や量に影響を及ぼす要因があれば、改善していく。

ステップ③:地域(流域)の問題解決に向けて行政・市民とアクションを起こす…企業が流域に貢献することで企業ブランド向上につながる。

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アクアスフィア・水教育研究所