企業の水リスク(7)汚染された水はつかえない

水をつかうと汚れた水が増える

水が不足してしまう、もう1つの原因は、水が汚れていることです。

産業が発達すると、水をつかう量が増えます。

 

でも、それだけではありませんね。あとで出てくる汚れた水の量も増えます。
私たちはつかい終わった水を、生活排水、農業排水、工業排水として川や湖、海に流しています。

汚れた水をきちんと処理してから自然に戻せばいいのですが、世界中を見渡すと、それができていない国や地域があります。

もともと地球には、汚れた水を分解してきれいにする力があるのですが・・・。

しかし、人口が増えたり、急激に産業が発達したりすると、汚染物質の量が、自然の力できれいにできる量を超えます。
私たちが流している汚れた水は、地球1個が処理できる量をはるかに超えてしまっています。

食べ残しが水を汚す

外食産業の方は、こんなことを考えてください。

日本は食料を世界中から買っている一方、たくさんの食べ残しを出しています。

お客様が帰ったあとのテーブルにも、たくさんの食べ残しがあると思います。

こうした食べ残し、飲み残しは、水のむだです。

なぜかというと、食料となる野菜や家畜を育てるには、たくさんの水をつかっているからです。

水を汚す原因にもなります。食べ残しや飲み残しなどで汚れた水を魚が棲めるくらいの水に戻すには、相当の量の水で薄める必要があります。

たとえば、ラーメンの残り汁(200㎖)に990ℓ、牛乳コップ1杯(200㎖)に3000ℓ、みそ汁おわん1杯に1410ℓの水が必要になります。

こうした汚れは下水処理場で処理してから川に流しますが、その過程で、大量の水とエネルギーがかかります。

食べ残さなければ、この水とエネルギーは減らせたはずです。

農業による水汚染

農業は、貴重な食べものを生み出します。

農業でつかった水は、川や海の生きものに大きな影響を与えます。

日本では農薬の利用について一定ルールがありますが、欧米に比べてゆるくなってきています。

国によっては、有害な農薬であっても規制せずにつかっている場合もあります。

食品・飲料会社では、海外で生産された農作物をつかっていることが多いでしょう。もし、そこで無秩序な農薬や肥料のつかい方をしていたら、生産地での水汚染に関係していることになります。

工業製品が水を汚す

それは工業製品の生産現場でも同じです。

工場でつかった水(工場排水)は、それぞれの工場で責任をもって処理し、安全な水に戻してから川などに流すことになっています。

日本国内では工場排水についてのルールがありますが、国によっては、有害な物質であっても規制せずにつかっている場合もあります。

タンパク質、炭水化物などの有機物や、重金属をはじめとする有害な化学物質が含まれていることがあります。ICなどの電子部品の製造を行う工場からの排水のなかには、自然の力では分解できない物質や、人体に有害な化学物質が含まれていることがあります。

海外から部品を買っている場合、その部品工場が有害物質を排出していたとしたら、汚染に関係していると見られてしまいます。

汚染された水が増えるということは、つかえる水の量が減るということになります。私たちはきれいな水しかつかえないからです。

つかう量が増えて、つかえる量が減っていったらどうなるのでしょうか。

 

参考資料:「いちばんわかる企業の水リスク」(橋本淳司/誠文堂新光社)

アクアスフィア・水教育研究所