【報告】Water Literacy Open Forum 2019 PKW=ぺちゃくちゃウォーター

2019年3月21日、東京都港区立エコプラザにおいて「Water Literacy Open Forum 2019 ぺちゃくちゃウォーター」(主催:Water Literacy Open Forum 2019実行委員会/事務局:アクアスフィア 水教育研究所)が、国連が定める「世界水の日」を記念するイベントとして開催されました。

イベントは「PKW(ぺちゃくちゃウォーター)」「世界水の日カルタづくり」の2部構成。「PKW(ぺちゃくちゃウォーター)」では小学生、高校生、大学生、社会人など多様な10人のPKW(ぺちゃくちゃウォーター)スピーカーが、それぞれの体験をもとに「水」をテーマに発表しました。「世界水の日カルタづくり」では、参加者は発表を聞いておしゃべりし、考え、感じたことを「かるた」の絵札と読み札に表現することに挑戦しました。参加者の年代層や仕事の幅も広く、多様な交流となりました。(レポート:明父大樹/撮影:吉野輝雄)

 

PKW(ぺちゃくちゃウォーター)

10人のスピーカーが、20枚のスライドを使って、400秒で、水について話してくれました。

PKW(ぺちゃくちゃウォーター)スピーカー1:国際基督教大学 大川みずきさん

「水を買うのではなく、探し、もらう文化を定着しよう」をテーマに発表してくれました。

現在世界で消費されているペットボトルは、1分間に100万本で、海洋ごみの原因としても課題になっています。2050年にはプラスチック量が海の生物の総重量を越えると言われています。そこで、環境を配慮して、大量生産されているペットボトルを減らすためにTap – Find water anywhere というアプリを使う呼びかけをしてくれました。

このアプリは、街中のどこに給水場所があるかを教えてくれます。

コンビニで1日1回水を買うとしたら100円、給水の水は0円。1年間、10年間で考えると、どちらがお得かは一目瞭然ですよね?

 

PKW(ぺちゃくちゃウォーター)スピーカー2:きれいな水といのちを守る東日本連絡協議会 能勢富美子さん

私達が普段、何気なく使っている洗濯洗剤の環境への危険性についてお話してくれました。多くの洗剤は合成洗剤というもので、便利ですが、生態に有害で人体にも影響を及ぼす成分があるため、自然由来の石鹸を使おうと呼びかけました。実は、洗浄力も石鹸の方が良いみたいです。生活のなかで、意図せずに環境に悪影響を与えているかもしれないことにハッとさせられる発表でした。これから、洗剤を買うときは、表記に「合成洗剤」か「石けん」と書いてあるか気にして、買い物をしてみましょう。

PKW(ぺちゃくちゃウォーター)スピーカー3:井荻小学校5年生のみなさん

井荻小学校では10年間、学校内を流れる善福寺川の清掃を行っており、今回は「生活と川」をテーマに発表を行ってくれました。これまで行っていた、いきもの調査、水質調査を通して、昔に比べて都市化の影響で川が汚くなり、生物が減ったことを課題として取り上げ、川をきれいに保つために植物を植え、生物の生息場所をつくるなどの提案をしてくれました。また、生活の中でも環境意識を持って、雨タンクを活用して水利用、屋上の緑化などの取組を呼びかけていました。日々の生活で環境や水のために、自分は何ができるかを考えていきたいですね。

PKW(ぺちゃくちゃウォーター)スピーカー4:三島北高校のみなさん

三島北高校では、「水」をテーマにした課題探求型学習が行われています。はじめに静岡県における水、川、街づくりを紹介してくれました。そして、ベトナムでの海外研修中に行ったフィールドワーク中に、現地で行える改善策の提示を行ったことなどの活動報告をしてくれました。

10代のうちから、世界の課題に関心を持ち、実際に行動を起こす高校の教育方針に関心が持てたことと、生徒の皆さんの活動に取り組んできた真剣さに感動しました。

PKW(ぺちゃくちゃウォーター)スピーカー5:青山学院高校教諭 池田敏さん 

ケニアで水問題の改善活動をしていた経験から現地の事情についてお話をしてくれました。ケニアでは日本と違い、スラムで貧しい生活を送っている人達が多く、子供達は学校に行く時間の代わりに水汲みのために1日を過ごしているようです。また、ため池や張りぼてのトイレですら水料金がかかり、日本の暮らしからは想像もできない厳しい現状があります。改善のためには、インフラの整備をすること、雨水の有効利用などが挙げられました。日本とは違う実情でありますが、水を当たり前に使うのではなく、大切に使う気持ちを常に持つべきだと思いました。

PKW(ぺちゃくちゃウォーター)スピーカー6:ウォーターエイド職員 住田 雄佑さん

開発途上国の水と衛生を支援しているWater aidの活動についてお話してくれました。お話の中で、インドで水不足やトイレの問題で困っている人達が現紹介されました。そのような人達のために、water aidは募金を集め、そのお金で水道やトイレを整備し、現地の状況の改善に貢献していることを教えてくれました。企業や政府が重点的にアプローチできない市民レベルの問題点の改善を実行しており、NGOとしてのwater aidの魅力についてよく知ることができました。

PKW(ぺちゃくちゃウォーター)スピーカー7:創価大学 明父大樹さん

インド留学期間中にインドのガンジス河を訪れた際に、ガンジス河の汚染に問題意識を持ち、きれいな川に戻すためにはどうすれば改善できるかを発表しました。都市化やインフラ不足など様々、汚染の要因はありますが、大きな問題点は市民の環境意識が低いことであると考え、市民の環境意識の向上が必要であることを強調しました。そのことから、日本に置き換えても、水が豊かな国ではあるけれど、水課題に関心を持ち、自分達のもつ様々な立場からできることを考え、自分達の水は自分達で守る意識を持ちましょうと呼びかけました。

PKW(ぺちゃくちゃウォーター)スピーカー8:国際基督教大学 及川大河さん

ICUキャンパス内で行われている地下水利用や雨水利用システムについて紹介してくれました。自然と生物多様性を守るため、大学独自の取組を知ることが出来、大変興味深い発表でした自分達の所属する学校、大学、会社では、どのような水管理がされているか知っていますか? より良くできるかをぜひ考えてみましょう。

PKW(ぺちゃくちゃウォーター)スピーカー9:ウォーターエイドスピーカー 市川昌輝さん

お茶と水の関係についてお話してくれました。緑茶の種類、成分、なぜおいしいお茶になるのか、についてお話をしてくれました。その中でも興味深いポイントは、同じお茶でも産地の水によって、色が変わるということです。他にも、日本のトレンドとして、抹茶が世界に展開されていることなども知れました。お茶が好きな方は、ぜひ様々なお茶と産地の違う水で作り、飲み比べなどしてみてください。

PKW(ぺちゃくちゃウォーター)スピーカー10:八千代エンジニヤリング株式会社 片山佳奈子さん

普段の生活では意識しないと見えない水の話についてお話してくれました。まず、地球上の水で私達が飲める水は0.01%ほどであることや自然界の水循環降雨量が地域によるという話から飲める水が大変貴重であるということを知りました。また、食べ物や製品をつくるプロセスで実は水が使われているということから、私達の身の回りにあるものを水に換算すると、どれだけの水を消費しているのか容易に想像ができました。普段の食生活や買い物をする中で、自分の生活はどれだけ水を消費しているのかを考えてみると、見えない水が見えるかもしれません。

 

世界水の日かるたづくり

PKW(ぺちゃくちゃウォーター)の間に3回のかるたづくりの時間がありました。4人1組程度のグループでPKW(ぺちゃくちゃウォーター)スピーカーの話の感想を伝え合います。次に配布された紙にあらかじめ書かれている頭文字から連想される「かるたのよみふだ」「絵札」を考えました。

 

最後には、作った「かるた」をもとに、全員でかるた取り大会を行い、盛り上がりました。

ふりかえって(レポーター:明父大樹)

世界水の日を記念したイベントにふさわしい盛り沢山の内容であったと思います。それぞれのプレゼンターが発表する内容も、水をテーマにしても扱う内容は同じものがなく、それぞれに特徴がありました。また、プレゼンターだけでなく、一般参加者もプレゼンを聞いて、学んだことを「かるた」にするというユニークなゲームを通して、普段は関われない人同士で議論し、アイデアを出し合う刺激のある時間になりました。水問題は世界中にある大きな問題でありますが、詰まる所、私達一人一人の水の使い方によって起こった問題がほとんどなのです。そのことを知った上で、いかに水問題を自分事と捉え、生きていくかを考える貴重な機会になりました。

 

 

アクアスフィア・水教育研究所