【報告】2020.911 小金井くりのみ学級「小金井市民が知っておきたい地元の水事情、世界の水問題」(小金井市様主催事業)

当研究所代表の橋本淳司が、東京都小金井市様主催の事業、小金井くりのみ学級において、「小金井市民が知っておきたい地元の水事情、世界の水問題」というテーマで講演させていただきました。

密にならないよう参加者の人数を減らし、1時間経過したのちに15分の空気を入れ替えを行いました。橋本は写真のような区切られたスペースに入り、お話しました。

内容は以下のようなものでした。

1 コロナウイルス感染症と水道料金

  • 水道料金の減免を実施する自治体がある。
  • 減免の方法には、基本料金分を減免、従量分(基本料金分を超えて使用した分)まで減免がある。
  • 減免の財源には、水道事業の黒字分、自治体の一般財源がある
  • 一方で、自治体が作成している「水道ビジョン」「水道経営計画」などには「人口減少による料金収入の低下」「老朽化した施設の更新がまったなし」「水道料金の値上げの検討の必要性」などと書かれている。
  • 長期的に経営計画を見直している水道事業も多くあり、今回の首長の決定が、水道事業の持続を揺るがすケースもあるだろう。

2 水道のある国、ない国

  • 近代の水道は、明治初期のコレラの全国的な蔓延等を背景に、衛生上安全な水の供 給を第一の目的として、感染症の進入経路である港湾都市から整備が始まり、その後、 大都市を中心に整備が進み、戦後急速に普及。
  • 水道事業は、水道法に基づき、市町村公営を原則。また、地方公共団体の経営する水道事業は、地方公営企業法の適用を受ける公営企業であり、料金等の収入による経営が原則。
  • 施設整備については、水道事業は受益者負担を原則としているため、一般に国庫補 助が行われているわけではなく、高料金化の防止と、水源開発等の国家的見地の施設 整備という2つの目的を併せて配慮した、政策的な観点から、事業の一部に対して国庫補助を実施。
  • 新型コロナ禍で水道での手洗いが注目される一方で、水と石けんを使える手洗い設備施設を自宅にもっていない人は世界で30億人
  •  後発開発途上国では、水と石けんを使える手洗い設備施設をもたない保健医療施設が55%
  • アフリカでは、すべての国で新型コロナウイルスの感染者数が増加。WHOはアフリカで、1年間に19万人が命を落とす可能性を危惧。
  • 現地にあった方法で、水と衛生の設備をつくる必要がある

3 水と気候変動

  • 極端な気象現象により水は不足し予測不能になり汚染される。
  • あらゆるシステム(衛生、医療、教育、ビジネス、産業)の維持、生き抜くために水が必要。
  • 行動計画は、多様な分野で統合され、国境を越えて調整される必要がある。重要なのは安全で持続可能な水管理。
  • 人口増加につれ、資源枯渇、環境破壊、水需要増。解決には、海洋や湿地など二酸化炭素吸収源の保護、気候に配慮した農業技術の採用、廃水の再利用が大切。
  • 貧しい人々が取り残されないようにしながら、水資源、利用量、涵養量を計測し、水需要のバランスを取る。

    以上です。

    小金井市のみなさま、ありがとうございました。

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アクアスフィア・水教育研究所