プロジェクトWET「正当な価格」を活用して水道の持続を考える

 教育現場でアクティブ・ラーニングが行われることが増えました(※文部科学省の学習指導要領では「主体的・対話的で深い学び」という言葉が使われていますが、ほぼ同義ととらえ、ここでは「アクティブ・ラーニング」という言葉を使っていきます)。

水をテーマにアクティブ・ラーニングを行う場合、「プロジェクトWET」のアクティビティは有効です。これは米国で開発された教育プログラムで、WETはWater Education for Teachersの頭文字をとったものです。

当研究所では「上下水道」について考えたいとき、「正当な価格」というアクティビティを活用しています。

近年、水道の持続性が問題になっています。高度経済成長のころに敷設した水道が老朽化してきています。更新には費用が必要です。

一方で、市民の多くは水道は「あって当たり前」という意識で、「水のおいしさ」「価格の安さ」を求めます。

そんなギャップを埋めて、この問題を「自分ごと」にするときにこのアクティブティは役に立ちます。

参加者は「ある自治体」から上下水道の設計の依頼を受けた水道コンサルタントになります。「ある自治体」のマップは以下のとおりです。

 まず、水源地Aからどのような経路で、街の浄水場Bまで運ぶか、つまり水道管を敷設するかを考えます。 通過する土地の種類、川、道路、橋などによってコストは変わります。

次に下水処理場を街のどこに建設するかを考えます。自治体がもつ1から6の土地のうち、どこにつくるのがよいか、どのような経路で下水を処理場まで運ぶかを考えます。

環境への配慮、住民の声、コストなど考えることがたくさんあります。

チームで水道計画と見積もり金額をまとめ、何を重視して策定したかのかを発表します。

「コストがかからないこと」、「便利さと安さを両立させる」、「環境負荷を最小にする」、「住民のクレームの少なさ」などいろいろな意見が出ます。

こうしていくことで、水道を「自分ごと」にしていきます。

アクアスフィア・水教育研究所