【報告】2019年4月18日 札幌「私たちの水道の未来」(主催:さっぽろ自由学校「遊」様)
2019 年4月18 日、さっぽろ自由学校「遊」様の勉強会(札幌エルプラザ)に、当WEBマガジン編集長・橋本淳司が登壇させていただきました。約80名の方にご参加いただきました。
テーマは、「水道事業の持続」でした。
私たちは水道水に対し、味のよさや安さを求めますが(もちろんそれも大事なんですが)、毎日安全な水が安定して使えるからこそ、豊かな生活が送れることを頭に留めなくてはなりません。
勉強会では冒頭に、ドキュメンタリー映画『最後の一滴まで―ヨーロッパの隠された水戦争』(ヨルゴス・アブゲロプロス監督、ギリシャ)の予告編を視聴しました。この映画では、水道の民営化をめぐる企業と住民との攻防を描き、水道の管理運営を企業に委ねることの危険性を訴えています。
続いて橋本が、日本の水道事業の課題や解決事例についてお話ししました。日本の水道は3つの課題をかかえています。
こうした課題を解決するために水道法が解決されました。④のコンセッションが注目されていますが、小さな水道事業者にとっては、②や③がとても重要です。
具体的にはまず頭の切り替えが必要です。水道敷設の時期はどんどん建設投資が行われましたが、これからはダウンサイジングでしょう。それにあった手法や技術の研究を進めるべきです。
北海道の水道事業は日本で一番厳しい経営環境にあります。
自治体間の距離があるので、広域化のハード面でのメリットが発揮しにくいのではないでしょうか。ソフト面のメリットは発揮できると思います。それは人です。1つの組織に人が集まることで、技術や知恵が増えるということです。
一番の課題は、有収率が低い事業者が多いという点です(以下の図表の出典:「北海道の水道(平成27年度)」)。
たとえば、羅臼町の有収率は45%です。これでは、経営が良くなりません。せっかくお金をかけて浄水した水道水が家庭に届く前に消えているのです。水道管に穴が空いていて漏れてしまうのでしょう。有収率を上げるためには、修繕するためのお金と人材の確保・育成が大切です。
いちばん大事なのは市民が関心をもつことです。
北海道で課題解決できたら、他の自治体の参考になることが多いと思います。
主催者様、関係者のみなさま、ありがとうございました。