<水の科学5>水の融点・沸点

融点、沸点が同系列の物質に比べ極端に高い

 水は融点、沸点がとても高いという性質があります。

 固体にエネルギーを与えると、熱運動が次第に激しくなります。

 やがて分子間力より熱運動が大きくなり、もとの位置から動いてしまいます。この現象が融解です。大気圧のもとでこの融解が起きる温度を融点といいます。

 一方、液体の表面だけではなく液体内部からも盛んな蒸発が起こり、気泡が発生する現象を沸騰といい、そのときの温度を沸点といいます

 元素周期表で酸素と同じ16 族元素に硫黄、セレン、テルルがあります。これらと水素分子2 個が化合した硫化水素(H2S)、水素化セレン(H2Se)、水素化テルル(H2Te) は、水の仲間といえます。

 この4つの物質の融点、沸点を比較するとおもしろいことがわかります。

 水以外の3 物質は、分子量が大きいほど融点、沸点とも高くなっていきます。

 しかしながら、水は分子量がいちばん小さいにもかかわらず融点、沸点ともに飛び抜けて高い値を示します。

 分子同士にはたらく分子間力は、分子量が大きいほど強くなります。固体から液体への変化、そして液体から気体への変化は、分子同士のつながりが弱くなっていく変化でもあります。

 融点とは、固体として規則正しく結びついていた分子が、液体になって自由に動き回るようになる温度です。

 沸点とは、液体から気体になり、分子が、それぞれ自由に動きまわるようになる温度です。

 ですが、いちばん分子量が小さい水が飛び抜けて融点も沸点も大きいのですから、分子間力以外の何かが作用しているのでしょう。