<水の科学6>一定の条件のもと固体から気体へと変化する

 

 水の状態図を見ると、三重点以下の温度、圧力では液体の水は存在できず、温度の変化とともに氷が直接水蒸気になります(昇華)。

 反対に水蒸気が氷へと変化(凝結)することもあります。

 真空に近い状態では、水の沸点と融点は0.01℃程度しか違わないため、一気に水の昇華が起きます。

 この性質を応用したものの1 つにフリーズドライ(凍結乾燥法)があります。

フリーズドライは、新鮮な食品を、栄養分、ビタミン、ミネラル、香りなどを損なわずに乾燥させる技術です。

 食品を-30 〜-40℃で急速に凍結させ、次に1/1000 気圧以下の真空状態のなかで少量の熱を加えます。すると凍った食品の水分(氷)は一気に水蒸気になり、水分が食品から抜けることにより乾燥させることができます。

 フリーズドライした食品は、お湯を注げばすぐに元のみずみずしい状態に戻ります。

 粉末コーヒーやインスタント味噌汁などは人工のフリーズドライ製品です。宇宙食にも応用されています。

 

「通読できてよくわかる水の科学」(橋本淳司/ベレ出版)より