天ぷらうどんの材料のうち、国内で100%まかなえるものがどのくらいあるのか
どこの水で育てられたのか
私は天ぷらうどんが好きで、地方取材に行くと、駅の立ち食いうどん店に入ります。うどん、つゆ、天ぷらの具材など、地方や店によって少しずつ違うのが楽しみです。
天ぷらうどんの材料のうち、国内で100%まかなえるものがどのくらいあるのかと、考えてみました。
まず、うどんはどうでしょう。
日本人は大変麺が好きです。関西うどん、きしめん、素麺、ほうとう、うーめん、讃岐うどん、伊勢うどんなど、数えあげたらきりがありません。でも原料の小麦は輸入されているものも多く、100%国内産というわけではありません。
エビ天はどうでしょう。
日本人はエビも大好きです。日本人のエビの年間消費量は、世界の漁獲高の4分の1を占めると言われます。
つゆに使われる醤油の原料である大豆の自給率は7%に過ぎません。
目の前の天ぷらうどんの材料のうち、日本国内で100%まかなえるのは水だけ。つゆをつくるときの水。うどんをつくるときの水。ちなみに、うどん一玉の平均的な重さは240グラムだが、もとの小麦粉は80グラム。つまり3分の2は水です。
では、小麦や大豆を育てるのにつかった水は、いったいどこの水なのでしょうか。
食料輸出国から日本へ流れる
日本は食料を海外から輸入しています。
小麦、大豆、トウモロコシなどの穀物を中心に、野菜、肉など、食卓に並ぶあらゆるものを外国から買っています。こうしたものをつくるのにつかわれた水は外国の水です。
たとえば、食パン1斤をつくるには小麦粉300グラムが必要です。その小麦粉300グラムをつくるには、630リットルの水が必要です。
肉の場合はもっと水が必要です。鶏、豚、牛は水を飲むし、さらに水をつかって育てた穀物等をエサにするからです。家畜が育つまでにつかった水をすべて計算すると、鶏肉100グラムには450リットル、豚肉100グラムには590リットル、牛肉100グラムには2060リットルの水が必要になります。
家族で焼肉屋にいったとき、食べ盛りの男の子がいると、牛肉1キロくらいペロリと平らげてしまうかもしれません。
牛肉1キロをつくるまでに、2万0600リットルの水が必要です。日本人が1日に使う水の量が約300リットルなので、ほぼ70日分の水が1キロの牛肉にかかっていることになります。
食料をつくるにはたくさんの水が必要です。大量の食料を輸入するのは、大量の水を輸入することなのです。これはペットボトル水の比ではありません。
つまり食料輸出国から日本へ流れる水の流れがあるのです。
目には見えませんが太く長い流れなのです。