<水の科学18>鉄の船はなぜ水に浮かぶのか


なぜ鉄が水に浮くのか

大部分の木は水に浮きます。

 この性質を利用して丸木船や筏を水に浮かべ、人間は水の上を自由に移動できるようになりました。

 その後、船はめざましい発展をとげました。筏はボートになり、やがて大型帆船が世界の海を駆けめぐった大航海時代をへて、船の素材は鉄に変わり、近年では巨大タンカーも現われました。

 船が水に浮いているということは、船の重量が水に支えられているということ。

 つまり、船の重さによって下に働く力と水が船をもち上げる力とが同じということです。

 水が船をもち上げる力を浮力といいます。

 水の中で物体が受ける浮力は、その物体と同じ体積の水の重さです。物体の重さよりも浮力が大きければ浮かび、小さければ沈みます。

 同じ材質であれば浮力は物体の体積に比例します。

 水に浮かんだ木片を沈めようとしたとき、小さい木片は比較的簡単に沈められますが、大きい木片は浮力が大きいのでなかなか沈めることができません。船の体積を大きくすることができれば、重い鉄の船でも水に浮きます。

 

船を浮かべる浮力

 

 

「通読できてよくわかる水の科学」(橋本淳司/ベレ出版)より