<水の科学7>水は物質を溶かす液体
水は溶かし運ぶ
最近は、水の汚染が深刻になっていますが、これも水にさまざまな物質が溶け込むことではじまります。
たとえば水のなかに植物性プランクトンが異常発生し、魚がすめなくなったり、水が悪臭をはなったりする「富栄養化」は、水に窒素やリンなどが溶け込むことではじまります。ダイオキシン、農薬などの有害物質も溶かし蓄積します。
さらに、海水、河川、湖沼に蓄積された有害物質は、水中にいる魚などの生物を汚染し、生物濃縮されて濃度が高くなった魚を食べることにより人間が有害物質を取り込むことになります。
雨や雪は大気中にある工場のばい煙や自動車の排気ガスなどの一部を吸収し、酸性雨や酸性雪となって地上に降ってきます。
このように水は汚染物質を溶かし、運搬することで、地球全体に汚染を拡散します。一方で、水の物質を溶かす力、運搬する力がないと、生物は生きていけません。
たとえば、食べ物からとった栄養を体中に運ぶときです。動物は食べ物からとった栄養を、胃や腸から血液の中に入れ、血液にのせて体中に運びます。
反対に、体内の老廃物を体外へ出すこともします。
動物は体内の不要なものを、血液に溶かして運び、最後に尿や便として体外へ出します。
植物も土の中の養分を水に溶かして、枝や葉まで運びます。葉でつくった養分も水に溶かして運んでいます。
生き物の体内では水に溶けた物質をつかって、生命活動に必要なエネルギーや各種の物質を作り出し、不用になった物質を分解しています。これを代謝といいます。