<水の科学7>水は物質を溶かす液体

 雨水にはより多くの物質が溶ける

 降りはじめの雨は、空気中に浮遊する塵や汚染物質などを溶かし込んでいます。

 しかし、降り始めてから30 分以上経過した雨(初期雨水をカットした雨水)は汚染物質の影響を受けにくくなり、水道水やミネラルウォーターに比べても不純物の少ない水になります。

 水質を測定する指標の1 つに電気伝導度があります。イオンや有機物など水以外の不純物が入っていない水は電気を通しません。

 反対にイオンや有機物が含まれていたら電気は流れます。どの程度電気が流れたかを調べると、どれくらい水にほかの物質が含まれているかがおおまかにわかります。雨水の電気伝導度を水道水のそれと比べると、数分の1 程度です。

 こんな実験をしてみましょう。雨水と水道水と硬度の高いミネラルウォーターを用意し、同量をコップに注ぎます。そこに、せっけん水を少量たらし撹拌(かくはん)します。さて、どのコップがいちばん泡立つでしょうか。

 いちばん泡立ちにくいのが硬度の高いミネラルウォーターです。温泉に行って髪を洗おうとすると、なかなか泡立たないことがあります。これと同じで、石鹸の成分とミネラルが結びつき泡立ちにくくなります。

 一方、いちばん泡立つのが雨水です。したがって洗濯にいちばん適しているのは雨水ということになります。少量のせっけんで泡立ち、すすぎに使う水も少なくてすみます。

 

 

「通読できてよくわかる水の科学」(橋本淳司/ベレ出版)より