【報告】7/13「水道民営化『ブルーゴールド:狙われた水の真実』上映+トーク(ゲスト:橋本淳司)」

2019年7月13日、橋本淳司が「UPLINK自主上映応援プロジェクト 問題提起×実際例=THINK⇒ACT vol.2」にゲスト出演しました。

「問題提起」として、世界各地で起きている様々な “水戦争” をグローバルな視点で描いた『ブルー・ゴールド 狙われた水の真実』を上映。2008年公開の映画ですが、世界各地で起きているさまざまな水問題を取り上げ、いま見ても古さを感じません。水不足、水汚染はさらに深刻さを増していますし、それにともなう水の奪い合いも各地で起きています。さらに気候危機の要素が加わり、水の偏在はより深刻になっています。

その後、映画でも扱われた水道事業の民営化、なかでも日本の問題に的を絞り、2018年成立した改正水道法によって事業がどう変化するのかを、アップリンクの浅井隆社長と橋本淳司で対談しました。

映画ではコチャバンバの水道民営化を巡る争い「コチャバンバ水紛争」も取り上げられています。1997年、南アメリカのボリビアで、西部に位置するコチャバンパの水道事業が、公営から外国企業による民営になりました。ところが、水の価格は3倍になり、住民は「企業が利益ばかり追求して水道事業を怠った」と訴え、「水紛争」とよばれた激しい抗議をくりかえしました。

その結果、企業は撤退せざるをえなくなり、水道事業はふたたび公営化された、というものです。

その後、2017年に再公営化の指導者だったパブロ・ソロンさん(元ボリビア国連大使)の話を聞く機会がありました。水紛争から20年が経過し、ボリビアでは現在どのような課題があるのか。以下は、パブロ・ソロンさんの話です。

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「公営化は喜ばしいことで、水道事業の利益が公に残ることで、水道サービスを拡充することができました。しかし、現在、2つの大きな問題が解決されていません。水の問題は地域によってひどくなっています。これは地球温暖化にともなう少雨傾向と森林伐採の影響です。

 現在、ボリビアでは少雨傾向が続き、干ばつが頻発しています。また、年間20~30万ヘクタールの森林が伐採され続けています。大農家も小農家も耕作地を増やすために森林を燃やしています。

 水を得るには、森林が保持されていなくてはなりません。水の循環のサイクルが保持されていなくてはなりません。森は水を循環されるポンプの役割を果たしています。水源との私たちの生活の結びつきを考えなくてはならない。

 私たちは水に対する人権を実現するには、水そのもの権利を尊重しなくてはなりません。自然の権利を尊重しない限り、人間が持続的な生活を送ることはできません。しかしながら、水紛争後、人々が積極的に水に関与することが少なくなりました。水に関して人々が積極的でなくなったのは大きな問題です」

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日本でも水道事業の持続をどうするかは大きな問題になっています。しかし、そこだけにとらわれず、水循環の健全化という大きな枠のなかで、上下水道事業をどうするかということが大事です。自国の再公営化を評価しながらも「もっと視野を広げて考えるべきだった。森林伐採や地球温暖化が水資源にこれほど影響を与えるとは思わなかった」と悔やんでいたパブロ・ソロン氏の姿から学ぶべきことがあります。

映画のなかの最も重要なメッセージにも通じるところがあります。水文学者が生態系と共生しながら水循環を健全にしていくことを強調していますが、私たちがやっていなくてはいけないのはまさにそこです。

 

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