イラクの干ばつが新たな過激派を生む

 イラクの干ばつがいよいよ深刻です。

 そうしたなか、国連安全保障理事会の「気候に関連する安全保障リスクについての専門家作業部会」が気になる報告書を公開しました。その内容とは、

「干害などの気候に関連する安全保障問題への対応を怠れば、イスラム過激派が再び台頭するリスクがある」

 というものです。

 チグリス川流域では水位の低下が顕著で、1931年以降最低の水準になっています。

 イラク政府は近隣諸国と水資源の公正な分配をめぐる正式な合意を結んでいません。

 雨不足と近隣諸国のダム関連プロジェクトの影響で、チグリス川流域の住民700万人超が現在の場所で暮らしていくことができず、立ち退きを余儀なくされるリスクにさらされています。

 報告書では、気候に関連するリスクの監視・管理を怠った場合、ISIS(イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の別称)や「ポストIS」期のテロ集団が、資源に制約のあるコミュニティー内部で支持を獲得し、力を取り戻す可能性があると説明しています。

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