<水の科学4>融解熱・蒸発熱が大きい

 固体にエネルギーを与えると、熱運動が次第に激しくなります。やがて分子間力より熱運動が大きくなり、もとの位置から動きます。この現象が融解です。

 水は、固体の氷が溶けて液体の水になる(融解)ときに大きな熱量を必要とします。水の融解熱(物体1mol を融 解するのに必要な熱量)は他の物質と比べて大きいのです。

 融解熱が大きい物質ほど融かすのに多くの熱量が必要です。つまり水(氷)は融けにくいといえます。

 また、一定以上のエネルギーをもった分子が分子間力に打ち勝って、液体の表面から上部の空間に飛び出すことを蒸発といいます。

 液体の水が水蒸気になるときにも大きな熱量を必要としますが、この熱を蒸発熱と呼びます。

 水の蒸発熱(物体1mol を蒸発させるのに必要な熱量)は他の物質と比べて大きいため、水が蒸発するときには大きな熱が必要になるのです。

 つまり、蒸発熱が大きい物質ほど蒸発する時に周囲から多くの熱を奪い、冷却能力が高いのです。

 融解熱と蒸発熱では蒸発熱のほうが大きいという性質があります。

 融解は固体から液体への変化ですから、完全に粒子同士が離れてしまうわけではありません。

 つまり、完全に粒子間の結合が切れるわけではないため、結合を切るのに必要なエネルギーは少なくてすみます。

 それに対して、蒸発は液体から気体への変化なので、粒子間の結合をほぼ完全に切ってしまわないといけません。

 従って、結合を切るのに必要なエネルギーは大きくなります。

 水の融解熱は6.0kJ/mol ですが、蒸発熱は44kJ/ mol と蒸発熱の方が大きい。

 この水の性質が私たちの生活に大きく関係しています。

 真夏の海は日光が強くても、水の蒸発によって大量に熱が奪われるため、極端に温度が上昇することはありません。

 そのため海の上層に棲む生物は熱から守られています。

 また、人は暑いと汗をかきます。汗が蒸発するときに多くの熱を奪い、体温が調節されます。

 夏の暑い日に道路に水をまく「打ち水」もそうです。アスファルト表面に水をまき、水が蒸発するときに周囲から多くの熱を奪う働きによって、アスファルトの表面温度を下げるねらいがあります。

 なお、液体の蒸発は何℃でも起こる現象です。濡れたタオルを干しておけば、100℃でなくても乾きます。

 水は1 気圧のもとでは100℃で沸騰しますが、水の蒸発は沸点の100℃でのみ起こるわけではありません。

 

「通読できてよくわかる水の科学」(橋本淳司/ベレ出版)より

 

<水の科学4>融解熱・蒸発熱が大きい” に対して1件のコメントがあります。

この投稿はコメントできません。