<水の科学14>液体と気体の性質をあわせもつ超臨界水

 超臨界水とは?

上の水の状態図を見てください。

温度、圧力ともに高くなり、374℃、2.21 × 107Pa 以上になると、液体と気体の水は互いに区別できなくなります。

 この点を水の臨界点といい、その温度、圧力を、臨界温度、臨界圧力といいます。

 水を頑丈な容器に入れ、374℃以上、2.21 × 107Pa 以上の高温・高圧の状態にすると、温度が100℃を超えても高い圧力で押さえつけられているため、蒸発して水蒸気にはなりません。

 この状態の水のことを超臨界水といいます。

 この水は、液体の水と気体の水蒸気の両方の性質をあわせもちます。

 たとえば、密度は液体の10 分の1 から2 分の1 程度で、水蒸気に比べて数百倍大きい。

 一方、水蒸気の分子と同様の大きな運動エネルギーをもちます。液体の分子密度をもちながら、気体のエネルギーをもつ状態になります。

 超臨界水は有害物質処理や廃プラスチックのリサイクルなどに活用されています。従来技術では分解しにくかったものでも、高密度で高エネルギーの水の衝突を受け、バラバラになります。

 次に、臨界点よりもやや低い領域の水を亜臨界水と呼びます。

 亜臨界水の特徴は、有機物の溶解作用、強い加水分解作用をもつことです。

 亜臨界水は化学反応を促す触媒になります。普通、水と油は普通は混じり合いませんが、亜臨界になると混じります。こうした亜臨界水の性質を利用し、廃棄物の再資源化などが可能になります。

 超臨界水および亜臨界水は、それぞれがもつ性質を利用した技術開発が行なわれています。

 

 

「通読できてよくわかる水の科学」(橋本淳司/ベレ出版)より