<水の科学15>0℃以下でも凍らない過冷却現象

 物質は一般的に固体・液体・気体の3 つの相を持ち、それらは温度と圧力の影響で決まります。

 温度が下がるにつれて気体→液体→固体へと変化しますが、現実にはこれに合わない例が出現します。

 物質が液体から固体に変わる温度以下の温度でも、液体のままでいる状態を過冷却といいます。

 過冷却状態の水を過冷却水といいます。

 水を冷却していくと0℃で凍るのですが、ゆっくりと温度を下げていくとより低温の水が得られる場合があります。

 その状態が過冷却です。

 過冷却水は、不安定で、振動等の物理的ショックにより結晶化を開始して氷になります。

 過冷却の工業的な利用は、空調の氷蓄熱、スキー場の造雪・溶液の凍結濃縮などがあります。

 特に氷蓄熱では積極的な研究・製品化が行なわれています。

 熱交換器で安定的に-2℃程度の過冷却水をつくり、その後衝撃エネルギーなどにより過冷却を破り、スラリー状の微細な氷を作り貯氷します。

 

「通読できてよくわかる水の科学」(橋本淳司/ベレ出版)より