<水の科学24>潮の満ち引きは月の引力によって起きる

なぜ毎日、海面の高さは変わるのか

海を眺めていると、少し前まで見えていた岩が海面にかくれているとことがあります。潮が満ちてきたためです。この潮汐現象は、月の引力によって起こります。

月の引力が地球におよぼす力は大きく、月に面した地球の海面は大きく引き寄せられます。これが満潮で、地球の反対側も同時に満潮になります。そして、その間が干潮になります。したがって6 時間ごとに干満を繰り返し、1 日に2 度満潮を迎えます。

月の潮汐力

 これに太陽の引力が微妙に影響します。太陽、地球、月が1 直線上にあるときは、互いの引力がプラスされるため、海面はさらに大きく引き寄せられます。これを大潮といいます。逆に、太陽、地球、月が直角に位置すると、太陽が干潮部分を引き上げるので、満潮でもいつもより低くなります。これを小潮といいます。

 

月と太陽の潮汐を起こす力

 

 

 潮汐現象によって、遠浅の海岸では波打ち際が100 mも移動するところがあります。満潮時には島だった場所が干潮時には陸続きになるところもあります。

 これによって問題になるのが地図です。地図に記された海岸線は、満潮時のものか、干潮時のものか。あるいは、その中間のものか。現在、地図の海岸線は満潮時の様を表示することになっています。そのため干潮時には現われるが、満潮には海に隠れてしまう、地図にない干潟がたくさんあります。

 

 

「通読できてよくわかる水の科学」(橋本淳司/ベレ出版)より