NHK「マイあさラジオ」に出演

2018年7月27日、橋本淳司が、NHK「マイあさラジオ」で、水道の現状と水道法改正についてお話しさせていただきました。10分程度で法改正の趣旨と、これから水道事業をどのようにしたよいかという私の視点です。

以下は骨子です。

<水道法の趣旨 経営の持続>
・水道法改正は事業基盤の強化を目指している。
・個々の自治体で運営している現状では、財政体力の弱い所は更新が難しいので連携して行う
・自治体ごとに施設情報をまとめた台帳を作る点。

<水道法の趣旨 コンセッション方式の導入>
・「コンセッション方式」と呼ばれる民営化の手法が導入されようとしている
・設備の所有権は、公が持ったまま水道事業の運営を長期間民間に任せる
・運営する企業は、役員報酬や株主配当、税金を払わないといけない。利用者からの使用料金を、自治体が運営していれば事業の運営に回せる。
・コンセッションを行う場合、契約やモニタリングを大きな法律事務所や会計事務所に依頼せねばならずそのコストもかかる
・事業に関する情報が完全に開示されない可能性があり、運営する企業が交渉のイニシアチブを握る
・料金は一定の枠を定めたのちに、自治体と企業の交渉となっている。一定の枠については見直すことができる。企業側が情報を握り、自治体の事業をウォッチする能力がない可能性があり、交渉は企業優位に進む可能性がある
・コンセッションは一定以上の給水人口のいる自治体に限られる

<コンセッションの海外事例>
・パリでは1985年にコンセッション方式にしたが経営情報が見えにくくなり、料金は上昇した。
・2007年に水道事業を再び公営に戻したが、コンセッションの期間利益が過少申告されていたこ
・パリだけではなく、フランスでは保守勢力の強いニース、ドイツのベルリン、アメリカのアトランタ、インディアナポリスなど、先進国でも、一度民営化したものの、再度公営に戻す事例が出ている。
・再公営化すると言っても契約の途中で行うと、違約金が発生する。また投資家の保護条項に抵触する可能性もある。ブルガリアのソフィアでは再公営化の動きがあったものの違約金の問題がありコンセッションを続けている。
・日本の首長の「一度ためして、だめなら戻そう」という人がいるが慎重に検討すべき。

<水道の持続>
・人口減少に対応しながら、市民に安全な水を届けることが第一
・人口減少地域は施設の統廃合と小規模分散型の施設の導入を合わせて行うことでコスト削減をはかる
・水源については良質な地下水を活用することもできる
・水道事業は地域特性を活かして柔軟な対応が必要。自治体と市民が将来のまちづくりを見据えて、責任を持って行うべき