<水の科学22>わずかな淡水が偏在する

人間が使える水は0.01%!

雨上がりにできた水たまりは、いつの間にかなくなってしまいます。

 でも、水が消えたように見えたのは、その状態が変わっただけです。水が水蒸気や氷へと状態を変えることは、日常的な出来事です。

 地球上の水の総量は13 億5000 万km3 と推定されています。

 その97.5%は海水です。地球表面の70%を覆う海水が太陽熱によって蒸発して上空で雲となり、その約1割(40 兆t /年)は風に乗って陸地に移動します。地上から蒸発した水蒸気と合わさり、年間115 兆t が雨雪となって降ってきます。

 山地では雪、氷河となって積もり、湖沼に一時的に溜まり、やがて川と地下水として(40 兆t /年) 海に戻ります。46 億年間、地球上の水は循環し総量は変わっていません。これが地球の水のきわだった特徴でしょう。

 はるか昔、地球の表面は熱いマグマにおおわれていました。次第にマグマが冷えてくると、大気中の水蒸気が冷え、雨となって降り出しました。

 雨が降ると地表の温度はさらに下がり、大気中の水蒸気が次の雨となって、激しく降り続きました。地上は大洪水となり、海が誕生しました。地球が青く見えるのは、この海のためです。

 地球上にある水の97.5%が海にあります。

 人間が飲んだり、使ったりする淡水は、地球の水の2.5%。

 しかし淡水の70%は凍っています。

 凍っていない淡水のほとんどは地下水ですが、そのうち半分が地中深くにあって、利用することができません。人間が利用できる淡水は、浅い層にある地下水と川や湖の水で、地球全体の水の0.01%に過ぎません。

 しかもこの水が偏って存在しています。

 水の多くある国や地域がある一方で、ほとんどないところがあります。

「通読できてよくわかる水の科学」(橋本淳司/ベレ出版)より