<水の科学2>水は、固体、液体、気体に変化する

水は固体より液体のときのほうが重い

 鍋で湯を沸かしているとき、上のほうは熱くなっていても、底のほうはまだ冷たいことがあります。それは温められた水が表面に上がってきたためです。水は温まると軽くなって上昇します。

 では、寒い冬の朝、池に張った氷を割ってみると、なかに液体の水があるのはなぜでしょう。

 池や湖でも同じです。ワカサギ釣りをやろうと厚く張った氷に穴をあけると、その下には液体の水があり、ワカサギは元気に泳いでいます。冷たい水が下へ沈むのなら、底から凍っていくはずです。

 ほとんどの物質は、液体より固体のほうが重いものです。なぜなら液体より固体のほうが、密度が大きいからです。ミクロなレベルでのぎっしり度が固体のほうが大きいので、固体のほうが重くなります。

 ところが水は、固体の氷のほうが液体の水よりも密度が小さい。

 液体の水より氷のほうがすき間が多いのです。グラスの氷が浮かんでいるのも、海に氷山が浮かんでいるのも、こういう理由からです。

 水の密度と温度の関係を見ると、水は3.98℃のときに最も密度が大きく0.999972g/cm3、0℃の液体のときに0.9998g/cm3 ですが、氷に変わると一気に密度が小さくなり0.9168g/cm3 になります。

 水がほかの物質と同様に、液体より固体のほうが重かったら、湖、川、池は底から凍ることになります。

 しかし、そうではないので、水の中の生物は、氷のカバーに保護され、気温が低くても暮らしていくことができます。

 

「通読できてよくわかる水の科学」(橋本淳司/ベレ出版)より