<水の科学19>地球は表面を水に覆われた惑星

大気を逃がさない質量と重力

 地球が「水の惑星」になったもう1 つの理由は、大気を宇宙空間に逃がさないだけの十分な質量と重力をもっていることです。

 月も地球も太陽からの距離にほとんど違いがないのに、月には海がありません。

 これは月のサイズが小さく、引力が地球の6 分の1 だからです。地球と月は同じ頃にできたのですが、月面上の水は宇宙空間に飛散し、水のない衛星になったと考えられています。

 同じく火星の質量も地球の9 分の1、重力は2.26 分の1 なので、大気を惑星の表面に引き止めておくことができません。

 地球の重力から計算すると、地球が保持できる水の量は、約13 億5000 万km3 とされています。海の深さが平均4000m とすると、地球の表面積の約70%が水ということになります。

 先ほどの地球は「水の惑星」という言葉ですが、もちろん「水でできている惑星」というわけではありません。

 むしろ大地の表面をうっすらと水で覆われているという表現のほうが正しいでしょう。もし地球が直径1m の球体とすると、海の水はおよそ660mℓに過ぎません。

 

 

「通読できてよくわかる水の科学」(橋本淳司/ベレ出版)より