<水の科学1>水分子が酸素1つと水素2つから構成されているとわかるまで

 水を化学式で書くと「H2O」と表わされます。ですが、水分子が酸素1つと水素2つから構成されているとわかったのは19 世紀のこと。いまから160 年ほど前のことです。

 それまではどのように考えられていたのかを、振り返ってみましょう。

 古代ギリシャの哲学者、一般的に最初の哲学者とされるタレス(紀元前624 年‒紀元前546 年頃)は、アルケー(万物の根源)を探求するなかで、「アルケーは水である」と唱えました。「すべての生命は水を含んでおり、水が無くなれば、乾いてボロボロになって消えてしまう。人間も動物も農作物も、みな水により生きている。したがって、万物の根本的な存在は水である」と考えました。

 当時はまだ神話が信じられていた時代ですから、このような考えは画期的なものでした。

 植物も動物も水なしでは生きていけません。さらに気温の変化によって水は氷になり、蒸発すると空気のように見えなくなります。

 水はあらゆる物に含まれ、自由に形を変え、生命を支えています。それゆえにタレスは「万物の根源」と考えました。