【報告】「水の循環講座-すみだと世界をつなぐ水の大切な話」最終回

2019年2月16日に行われた東京都墨田区主催「水の循環講座-すみだと世界をつなぐ水の大切な話」(最終回)のレポート。「すみだと世界の水循環について考える授業」というタイトル通り、「すみだ」というひとつの地域に、幅広い年齢の参加者が一堂に会して、日本だけでなく世界の水事情について関心を持てるきっかけとなるワークショップとなった。同イベントで行われた6つのアクティビティについて 紹介する。(レポーター:明父大樹)


自然界の水の循環、人間がつくったインフラでの水の循環を
水の分子になって体験
するアクティビティ
(プロジェクトWET
「ブルートラベラー」)

 
それぞれのテーブルにあるサイコロの出た目に合わせて「雲」「海」「川」などの自然界や「浄水場」「下水処理場」「都市」など人間がつくった水施設の場所を巡り、「水の場所」どうしの関連性に気づいてゆきます。

 この活動を通して参加者は水の循環を疑似体験できるため、盛り上がりを見せてくれました。「水はひとつの場所にとどまらず、循環すること」を楽しく学べる工夫が施されたアクティビティであると感じました。

そして、1回から6回までに行った場所を振り返りました。

たとえば、利根川から水を取水している利根大堰。

利根川と荒川を結ぶ武蔵水路の水は灌漑用水としても使われています。

こちらは都内にある「まいまいず」。この井戸水はかつてこの地にあった宿場の水瓶だったと言われています。

江戸のまちを潤した玉川上水。いまは途中から下水再生水が流れています。

日本農業遺産に指定されている「武蔵野の落ち葉堆肥農法」の体験

そして隅田川から東京湾へとクルージング。川の水は海へ入ります。

何気なく飲み残したり食べ残したりしているものが
川にどのような影響を与えるかを体験するアクティビティ
(三島北高校6girls
「生活排水ラボ」)

食べ残しや飲み残しと水に混ぜた時、もとの水質に戻すまで何Lの水が必要かについてのクイズ。
 
そしてクイズにはずれたペナルティとして獲得した醤油、天かすが混ざった水を水道パイプ経由でバケツに流し、水質の変化を観察しました。

最後に、水を汚す生活排水のもとを考え、どうすれば減らせるかについて考えました。普段の生活での心がけとして、参加者の答えは、

・ラーメンの残りスープを最後まで飲む、または調理に使う

・環境に良いシャンプーを使う

・油少なめの食事(捨てる量を減らすため)

・SNSなどを使って宣伝していく

・コンポストを作る

など実践的なものからユニークなものまで挙げられました。生活排水による水の汚染について問題意識を持て、生活改善のきかっけを持てる授業だと思いました。

自然の力をつかって水をためたり、
洪水を防ぐことを考えるカードゲーム
(三島北高
校GI「グリーンインフラゲーム」)

カードゲームを使って、GI(グリーンインフラ)について理解を深めるアクティビティです。

引いたカードの組み合わせによって、環境に良い町づくりや整備ができ、環境に良いほど高い得点を得られるルールであり、分かりやすくGIと環境に配慮された街づくりを学べる内容となっていました。ゲームの後には、新たに得た知識をもとに、自分たちの生活でできる工夫について議論しあいました。

参加者は「ゲーム感覚で楽しめるだけでなく、これを通して環境に良く、住みよい家づくりを意識していきます」とコメントしていました。

日本だけでなく、海外のGI例などが出され、新たな知識を得るだけでなく、視野も広がる充実した内容となっていました。

時代の変遷とともに地域の地下水利用が
どのように変化したかを考えるアクティビティ
(昭島の水を語れる人、プロジェクトWET「みんなの水」)

昭島の過去の歴史から時代が進むにつれて水使用量が増えていることを体験できる内容でした。

水を使用する役割として、農民、中小企業、学校、工場、エネルギー会社などの立場が用いられ、時代が進むにつれて取水する立場が増え、使用量も比例して大きくなることを実感できる。

100年前は水の利用者も少ない、1人(1つの事業者)が使う量も少ないのですが・・・

現在では利用者の数も1人(1つの事業者)が使う水の量も多い。

比べてみると一目瞭然。近代化とともに、ときには地下水が汚染されることもあります。

参加者の感想としては、

・企業などが大量に取水している

・現代では、自然に戻される水も産業活動によって汚れてしまう

・使いすぎると、他の人が使えなくなるため、協調性が大事

など様々な感想が出て、一つの町の水の歴史に関心を持て、水の使い方についても気をつける意識を持てる内容であったと感じました。

どのような公共トイレだったら
みんなが満足するかを話し合うアクティビティ
(ウォーターエイドスピーカー「みんなのトイレ」)

大人だけでなく、子供、身体の不自由な人、様々な事情を抱えた人にとって安心、安全の公共トイレロールプレイング形式で考えるアクティビティが行われました。合計10万円になるようにトイレづくりをする上で、どのような設備が必要かを参加者が議論しあいました。

参加者の多くは、多様な人々にとって共通した安心安全なトイレ作りは難しいが、目や耳の不自由な方に対して支援する視点を持てた、などのコメントがありました。

公共トイレについて考えることで、自分と違う立場の人に立って考え、自分に何ができるかを考えることの大事さに気づくことができるアクティビティだったと感じました。

海外のさまざまな環境に暮らす人が「水について語る」映像「Think Water」を見て、自分の水ストーリーを考えて演じる
「Think Water
」5番目の水ストーリー)

 今回は第1部、第2部でいろいろな水の授業をしてくれた人、受けた人が同じグループにいるので、感想を言い合ったのち、ファシリテーターが「もし「水」があなたの家族や友人だとしたらどんな言葉を投げ掛けますか」と問いかけ、2、3の例を短く話します。参加者は、「あなた  (水)のことを私はこう思っている」「なぜなら・・・」を考えます。

 ここで動画「Think Water」(クリックすると動画が見られます)を視聴します。水について4人の女性がそれぞれの立場で話しています。

 映像を見た後、「私にとって水とは?」を書き、グループの代表者がビデオの前で水に対する各々の思いを語りました。

 発表者の水に対する思いとして「身体に不可欠で大切なもの」「時として洪水のように恐い思いをさせる」「感謝」など様々な思いが語られ、人によって水に対する思いは様々あることを感じました。

このアクティビティを通して、初めて「水」に対する自分の思いを考え、当たり前ではない人にとって不可欠な「水」を、改めて大事に使いたいと思いました。

まとめ

地域を通して、世界に目を向け、問題を自分事として捉えることのできるワークショップであった思います。学校のように座って学ぶスタイルではなく、アクティビティやゲームなどのコミュニケーションを通して、水について楽しく学ぶことがコンセプトにあったように感じ、非常に有意義な時間を過ごすことができたと感じています。

また、参加者も老若男女と幅広い年代が参加したイベントであり、それぞれの立場や価値観から語られる水への思いや考え、エピソードは大変興味深いものがありました。

今後も、このようなワークショップが開催され、より多くの人々が水について関心を持つ社会になっていくことを願いつつ、自分自身も世界の水問題に対して、自分にできることは何かを考え続け、貢献できる人になりたいと思いました。

レポーター:明父大樹(1995年、福井県出身。印象に残っている水体験は、インド乾燥地帯の村で生活していた際、飲める水が朝一日一回の給水制だったこと。今後したいことは、国内海外のフィールドワーク、書籍の作成、水の識者へのインタビュー)